運命の推し

「笑子ばあちゃん……」

日向の反応が薄い。


「え?」


「いや、『え?』じゃなくて。それはちょっと……、似てないんじゃあないかなぁ……?」


日向の声がだんだん小さくなる。




「あら、似てないかしら?こんなにそっくりなのに」


共有出来なかった嬉しい気持ちが、私の中で少しだけ縮んだ。





「うーん、似てる?……いやぁ、似てないと思う……」

日向も申し訳なさそうだ。




「そうなのかしら……」



私はプレゼントされた宝物の写真と、お父さんの若い頃の写真を見比べる。






私には同じ瞳に見えるのに。









その夜。


夕食の時。


香奈子がいつものように、日向の部屋まで夕食を運んで帰ってきた。


香奈子もテーブルにつき、
「さ、食べようか」
と、美加子が両手を合わせたその時。



……カチャ。



日向の部屋のドアが開く音がして。


運んでもらった夕食を手に、日向がダイニングまでやって来た。





「日向!?」


香奈子が思わず立ち上がる。



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