運命の推し
「……似てない、と思うけどぉ……」

香奈子が言う。

美加子も頷く。


「そうかしら……、そっくりなのに」

心に曇った空が広がる。











その夜。

「病院大丈夫だったの?」

日向は夕食のあとも部屋には戻らず、私の部屋に来ていた。


「大丈夫よぅ」

なんてことないふうに答える。


まだ、私は日向に伝えていない。


もうそんなには、生きられないこと。




「勝也じいちゃんの話が聞きたい」

日向がお仏壇の、お父さんの遺影写真を見て言った。



「アルバムもあったら、見たい」

遠慮がちに私のほうを見た。



「いいわよ!」

嬉しくなって、押し入れを開けてアルバムを取り出す。


どうせなら、と結婚して間もない頃のアルバムを出した。


赤い表紙をめくる。



私とお父さんが、向かい合って笑っている写真。



「勝也じいちゃん?」

「そうよ、若い頃。結婚して2〜3年かしら」


「ねぇ、勝也じいちゃんとはどうやって知り合ったの?」


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