運命の推し
私も懐かしい写真を見つめる。
お父さんとの結婚生活は、青春の続きみたい。
ちっとも色褪せたりしなかったわ。
「あれ、この人誰?」
日向は1枚の写真を取り出した。
写真の中の人物はキリッとしていて、軍服を着ている。
「あぁ、挟んであったかしらね。勝也じいちゃんの歳の離れたお兄さんよ」
「うわぁー、似てない!!あー、でも目元は似てるかも?」
「そうねー。目元が似てるかしらね」
日向は写真をじっと見つめて、
「会ったことある?」
と聞いてきた。
私は頭を横に振る。
「いいえ。亡くなったの、戦争で」
日向は小さな声で、
「そっか」
と呟いて、
「つらい時代だね」
とだけ言った。
珍しく日向が私の部屋で寝たいと言った。
「ふたりで『シー・ファンキーズ』についていっぱい話して、夜更かししよう」
ひ孫の提案に、わくわくする。
廊下に出てみると。
リビングから美加子と香奈子の話す声が聞こえた。
「笑子ばあちゃん、優大が勝也じいちゃんに似てるって言い出しちゃったけど、大丈夫なの?」