運命の推し
お父さんの写真を少し眺める。
キリッとした瞳。
大好きな瞳。
ボケたんじゃないかと疑われてしまったけれど。
やっぱり優大と似ている気がする。
「シー・ファンキーズ」の音楽がとても聴きたくなる。
『星の降る夜には』を聴きたい。
何度聴いても飽きない大好きな曲。
「日向、入ってもいいかしら?」
日向の部屋の前に立つ。
「いいよ、入って」
中から日向の声。
部屋のドアを開ける。
日向は「シー・ファンキーズ」の音楽を聴きながら、何かの作業をしている。
「何してるの?」
そばまで行って、手元を見る。
カードに絵を描いているみたい。
「もうすぐママ、誕生日だから」
「あら、お誕生日カードね」
何の絵だろう?
犬かしら、猫かしら。
真ん中にあるのは、ケーキ?
「絵、下手なんだよねー」
私の視線に気づいたのか、日向はペンを置いてため息をついた。
「いいじゃないの、気持ちがこもっていれば」
「……うん」
日向は納得がいかない顔。
「本当はね」
少し口を尖らせた日向は、小さな声で言う。