運命の推し
「外が怖いの」

日向の声が震えている。


「みんながイヤなものでも見るような目で、私を見ている気がするの。私だけがみんなと違うみたいに感じる。そうじゃないって、みんなと同じだっていうふうに頑張ることにも疲れちゃったの」


私は日向を両手で強く抱きしめた。


小さな体が震えている。



「『シー・ファンキーズ』がいるから、生きていられるの。周くんが存在する限り、私はずっと周くんを推し続ける」

日向が私から少し体を離して、私をまっすぐに見た。




「周くんが、私の生きる意味なの」






今までだったら。

何をバカなことを言っているの、しっかりしなさい、と叱っていたかもしれない。


だけど。



今の私にはよく分かるわ。




だって、私もそうだもの。





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