運命の推し
第6話
ファンレター
それから数日が経った。
ふらつきと、めまいがして。
まっすぐ歩くことが難しい。
吐き気もあって、食欲もなくなった。
香奈子が車を出してくれて、美加子と病院に向かっている。
「笑子ばあちゃん、もうちょっとで着くからね。頑張ってね」
香奈子が声をかけてくれる。
何か返事をしたくても、それは叶わなかった。
「この間のこと、私、ちゃんと謝りたいから。だから元気になってよ。笑子ばあちゃん、ちゃんと元気になるのよ!」
後部座席で俯いたまま。
私は気持ち悪さと闘いながら、ぼんやりと頭の中で香奈子に返事をする。
いいのよ。
分かっているからね。
私の隣で背中をさすってくれている美加子も、
「母さん、もうすぐ着くから」
と、さっきから声をかけてくれていた。
「母さん、しばらく入院しなくちゃいけないって」
病院で処置を受けて。
私の体調は良くなっていた。
「あら、そうなの?でも私、もう大丈夫よぅ」
美加子は怖い顔をする。