運命の推し
帰宅
香奈子に頼んで、筆記用具と可愛い便箋を持ってきてもらった。
ずっと寝てばかりだった数日から、体を起こし、優大について考える日々を送っている。
優大を推す理由。
どこが好きで、どんなに好きか。
もうすぐお迎えがくるのは分かっている。
だったら後悔せずに、思いの丈をきちんと文章にしたい。
そんなふうに過ごしていたら。
ファンレターも書き上がり。
私の体調も持ち直し。
少し痩せたものの、退院できることとなった。
「不思議ねぇ」
今日は香奈子がどうしても仕事が休めないらしく、美加子とタクシーに乗って家に向かっている。
「何が?」
美加子が私を見る。
「『シー・ファンキーズ』って、不思議よねぇ。どうしてこんなに夢中になっちゃうのかしら」
手には、優大の写真。
「好きなものには理屈なんて無く、夢中になるのよ」
美加子も私が持っている優大の写真に視線を落とす。
「瞳がお父さんに似てるでしょう?」
私の言葉に、
「またそんなこと言って……」
と、美加子は呆れた声を出した。
私は構わず続ける。
「キリッとしてるわよね。それに、どこか寂しそうな瞳」