運命の推し

「ためらい?」

美加子が聞く。

「うん。弟さんのこともあって、きっと優大もつらかったんだと思う」



日向はそう言ってから少し声を落として、
「弟さんも、自殺だったらしいの」
と呟いた。




「自殺!?」
目の前が暗くなりそうだった。



「『星の降る夜には』を発表するまでに、いろんな想いがあってなかなか発表出来なかったんだって。でも今回、弟さんのことも公表しようって決めたらしくて……」


「……なんてことなの」
涙が出てくる。


優大のあの印象的な瞳。

どこか寂しそうだとは思っていた。

だけど。

そんなつらい過去を背負っていたなんて。





「ほら、見て」

日向が持っていたスマートフォンを操作して、画面を私たちに向ける。


優大のSNSのページだった。


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