運命の推し
「DVD?観たいわぁ」

浮かれる私に、
「これはブルーレイだけどね」
と日向が言ったけれど、何のことやら私には分からなかった。


「ファンレター、書けたの?」
リモコンを片手に、日向は私を見た。



「書けたわ」
と言って、私は、私の人生において初めてのファンレターを思い浮かべる。


便箋8枚にわたる、大作だった。



でも……。



「あの手紙じゃダメねぇ」

私は呟いた。



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