運命の推し
エピローグ
優大
もうすぐ。
ライブが始まる。
周がヘアセットを終えて、楽屋の椅子に座っているオレに話しかけてきた。
「またその葉書、読んでんの?優大」
ちょっと照れつつ、オレは頷く。
「はじめは文字が達筆で読めへんって思っててんけどな。今は読めるで」
周は葉書を覗きこみ、
「ホンマ、達筆やなぁー!」
と言った。
オレは周から、両手で持っている葉書に視線をうつす。
「このファンレターを読んでるとさ、この仕事を続けてて良かったなぁって思うねん。この仕事、やっぱり好きやなぁって」
周は笑顔になって、こう言った。
「その人、今日のライブに来てくれてたらいいな!」
「うん」
オレは素直に頷く。
「そうやったら、いいなぁ」