ほら、やっぱり愛してる . 〜 ヤクザの彼と私の物語 〜
「 じゃあ 私が 9年前に死ねば お父さんは殺されなかった 、 ? 」
『 愛莉 、そうじゃねえ 、 』
「 あの時死ぬはずだったのは 、お母さんじゃなくて 、私 ? 」
『 おい 、 』
「 私のせいで 、2人は ! 」
『 愛莉 ! 』
さっきまで椅子に座っていた彼の顔が今は目の前にある。
両手で私の頬を覆い 、
『 悪い。言い方が悪かった。お前のせいじゃねえ。 鍵って言うのは 、手掛かりって事だ 』
「 っ … 」
『 それに親父と姐さんは、もう帰ってこねえ 』
そうだ、もう、遅いんだ、いくら謝ったって帰ってこない 。
「 っ 、ど、すれば 良いの 私、っ ?? 」
気付けば流れてた涙が 、溢れて止まらない 。
泣くな、とまれとまれ 、とまれ 、
『 記憶を取り戻そう 。俺達と一緒に。 』
彼の声は少し震えていた 。
記憶のない私より 彼の方が辛いはずなのに、泣きたいはずなのに 。
涙の先に見えた彼の笑顔に
止めようとしたはずの涙は溢れるばかりだった。