ほら、やっぱり愛してる . 〜 ヤクザの彼と私の物語 〜
和真は しばらく考えて 足を止めた 。
[ それは姐さんが記憶を無くす前の、つまり9歳より前の記憶かもしれないですね 。 ]
「 記憶を無くす前の、記憶 。」
[ はい。一応その頃この組に所属していた人間調べてみますね 。 ]
「 今はもう、いないの? 」
[ ええまあ 。 … それより姐さん ! ]
といきなり振り返ったかと思えば 、
[ 少しでもこの屋敷に思い出があるなら玲衣さんと合流して探検してはどうです ? ]
「 探検 ? 」
[ はい!もしかしたら消えた記憶のピースが少しづつ埋まっていくかもしれない 。チャンスです 。
それにこの屋敷の人間は親分に忠誠を誓った奴らです。姐さんに手を出したりはしません。 ]
fight ! と力こぶしを作って また歩き出した。
「 ふふっ 、 ありがとう 。」
こんな状況でも安心出来るのは 多分この人の生まれ持った人柄だろうな 、
「 あ、そうだ 。 姐さんって呼ぶのやめて ? ? 」
[ どうしてです?兄貴の嫁さんは 姐さん でしょう 。 ]
「 〜〜 っ 、 そうなんだろうけど! 」
[ ん〜 じゃあ 愛莉さん 。 でいいすか? ]
「 全然いい 。 そう呼んで 」
[ わかったっす ! ]
無邪気に笑う和真は 本当にヤクザなのか 。
私は不思議に思った 。