青、こっち向いて。

親密なミッドナイトブルー



中間が終わり、無事テストも返され、あっという間に六月になった。

ちょっと早い梅雨入りを果たした日本列島は、今日も雨が降りしきっている。


「あー、雨ってだけでなんか憂鬱だよね。今日バイトだるすぎるな、嫌なお客さんいるし、休みたい」


「あの触ってくる人? 店長さんとか相談してみたら?」


あーって項垂れるたまちゃんは、お弁当をつつきながらため息をついた。


たまちゃんは最近、そのお客さんのことでよく悩んでいる。


どうやら、バイト先によくくるお客さんに商品を渡すときに、さりげなく手を触られるらしくて

別に触られるだけだし、勘違いかもしれないって、周りに相談することをためらっているみたいなんだけど、間違いなく、絶対に言ったほうがいいと思う。


「…うーん、ていうか、最近帰り待ち伏せされてんだよね」

「えっ、それ余計に言ったほうが良くない?」


たまちゃんは可愛いし、愛想もいいから何か勘違いをしてしまったのかな。


それにしても、待ち伏せはコワすぎる。


その待ち伏せとやらも毎回ではないからそれも思い込みすぎているだけかもしれないって言っているけど、


普通に危ないとおもう…。

たまちゃんのシフトは大体夕方から二十一時まで、そんな遅い時間に男の人に待ち伏せされてるのは相当コワイ。


「ちゃんと相談してみよう? バイト先に言いにくいなら、まずは香椎くんとかに話してみたらどうかな」

「あのもやしに? …頼りないけど、まあ一回相談してみるわ」


さっそくお弁当を置いて、スマホを取り出したたまちゃんは素早く文字を打っていく。


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