Chat Noir -黒猫と私- バイオハザー度Max- Deux(2nd)
「……ごめん、俺あんま考えなしで…」
黒猫が素直過ぎるぐらいに項垂れ、目を伏せる。
「い、いや!いいのっ!!仕方ないし!
それよりカリンちゃん大丈夫??」
慌てて聞くと、
「うん、おかげさまで一晩中点滴したおかげか、だいぶ落ち着いた。今日退院できるって」
「そう、良かった……」
「理由が理由なだけに仕方ないけど、連絡はもっと早くするようにね。
あんたの彼女はずっと待ってたんだから」
涼子がちょっと咎めるように言うと
「はい、ごめんなさい。
おねーさん」
と黒猫は律儀に頭を下げる。
「まぁ、病院だし連絡できなかったってのもあるけど、朝都を不安にさせないでね」
涼子はちょっとだけ言い過ぎたと思ったのか、声を和らげて黒猫の方を見る。
黒猫は私のお弁当が詰まった紙袋を手の上からそっと包み
「不安にさせてごめんね?」
と小さく謝ってきた。
“ごめんね”その言葉を昨日から何度も聞いた。
黒猫だって本当は来たかったに違いない。
そして来れなかったことを気にしている。
私の方が
子供だったのかもしれない。
つまらないヤキモチ妬いて。
カリンちゃんの一大事だって言うのに、カリンちゃんのこと考えてあげられなかった。
「ううん、ホントに大丈夫」
私は今できる精一杯の笑顔を浮かべて、黒猫に―――
倭人に笑いかけた。