Chat Noir -黒猫と私- バイオハザー度Max- Deux(2nd)
「……え゛?ちょっと待って…
誰と誰が……キス…?」
ミケネコお父様が探るように目だけをあげてきて、
「誰がって決まってるじゃないですか!
お父様と私がですよ!」
「僕と朝都ちゃんが!?」
ミケネコお父様は素っ頓狂な声をあげて目をパチパチ。
「分かり辛いのなら説明しますよ。
スペルはK・I・S・S。
どうですか!」
私がお父様の鼻の先に指をつきたてると、
「はぁ!?」
と、お父様はまたも素っ頓狂な声。
だけど
「してない!してない!昨日はかなり飲んだけど、記憶はちゃんとある!
朝都ちゃんにべたべた馴れ馴れしく触っちゃったり…」
言いかけてミケネコお父様はずーんと気落ち。
「……ホントにごめん。気持ち悪かったよね…こんなおじさんに…」
いえ、店長はおじさんじゃありません。
むしろおっさんなのは私の方で……
「ライラックの香りが―――
懐かしかったんだ」
ミケネコお父様は前髪をかきあげたまま、ぼんやりと遠くを眺めていて
「ホントにごめん……」
小さく謝った。