Chat Noir -黒猫と私- バイオハザー度Max- Deux(2nd)
「ま、座って座って~」
ミケネコお父様は立ち直りも早くにこにこ言ってカウンターのスツールを勧めてくれた。
店内を見渡すと、人はいつもよりまばらで閑散としている。
時間帯の問題だろう。もっと遅くなったら合コンの二次会連中やら、夜のデートカップルたちで店がにぎわう。
それを計算してか、カウンターに居るバーテンの子たちもいつもより少ない。
その子たちの誰も見知った顔はいなかった。
ニューフェイスだ。
「ベテランの子たちはピーク時に来てもらうことにしてるんだ~
あ、この子には僕が何か作るから君たちは他のお客様をよろしく」
ミケネコお父様は手際よく、カウンターに入っていた男女のバーテンに指示。
女の子の方はホントに二十歳を迎えたばかりの初々しい子で、
入った頃の私とどこか被る。
「このお客様店長のお知り合いですか?」
女の子はミケネコお父様を上目遣いで見上げ、
「ちょっとね。以前ここで働いてくれてた子なんだ」とミケネコお父様はその子に説明。
「ふぅん」
女の子は探るように私に目を向けてきて、私は唇を引き結んだ。
前言撤回。
私、こんな不躾な態度とったことなかったわ。
一瞬でライバル視されてたことがすぐに分かった。
この若い子は店長が好きなんだって。
「店長モテモテ?
ペルシャ砂糖さんに言いつけてやろ~」
ちょっと意地悪く笑ってやると、ミケネコお父様は笑ってかわすかと思ったのに…
「朝都ちゃん……昨日の…朝のことだけどさ…」
ミケネコお父様は真面目に私を見据えて、私は思わず目をまばたきさせた。