触れないで、杏里先輩!
きっと、いや、絶対罰ゲームだったんだわ。
だってあの杏里先輩が私に交際を申し込んでくる理由なんて無い。
まともに話したのがさっきなんだから。
それに告白の後、逃げ出したが追われている気配は無かった。

「今日寝坊しちゃったの」

少し落ち着いた私はそう言って窓側の自分の席に鞄を置いた。

「だからいつもより遅いのね」

「昨日帰りに新刊買って帰ったら一巻からまた読みたくなっちゃって、読み始めたら夜更ししちゃってさ」

「分かる!私も昨日読んだから!」

流石、同志。
行動も一緒。

「それよりも、何あの展開!」


昨日の興奮が甦り、暫く感想発表会をした。


「そいや、朝ご飯食べ損ねた」

感想を出し切るとお腹が空いてきた。

「早弁すべし」

「恥ずかしい……」

「お腹鳴るよりマシよ!」

「確かに」

「美桜、みっけ」
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