触れないで、杏里先輩!
「帰りは杏里先輩に守ってもらってるんでしょ?行きは俺に守らせてよ。というか明日から坂井さんに合わせて乗るから」

「で、でも、朝は人も、少ないし……」

これ以上迷惑は掛けられない。

「さっきみたいに絡まれたら対処出来るの?」

うっ。
そこを突かれると、痛い。

何も返せない私を見ながら、北川君はフッと笑う。

「俺、朝練あるからその二本後の電車に乗ってるんだよ。だからあまり変わらないし気にしない」

それにそこまで言われてしまっては、拒否なんて出来ない。

「で、では、お願いしますっ」


亜季ちゃんといい、杏里先輩といい、北川君といい、私の周りにいる人達はなんて心優しい人ばかりなんだろうか。と、じーんと優しさに胸を打たれていた。


駅から家までの帰宅方法を答えたりして、北川君と会話すること数分後、北川君のM駅を見送るとやはり罪悪感。
北川君はそんな私に気付いたのか、「俺が好きで付いていくの」と私に笑顔を向ける。
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