触れないで、杏里先輩!
「今日は部活あるからね」

私の心の中を読んだかのように北川君が説明した。
「な、成る程」と返すと鞄の隣の空いている席に座った北川君。

「今日もヘアピン着いてるね」

その台詞に彼に見られていることに気付き、一瞬居心地が悪くなったが、次に杏里先輩を思い出す。

『お守り。俺の変わりに美桜を守ってくれますようにって』

「うん……」

杏里先輩が近くで守ってくれている気がするから。






「おはよ、美桜」

「え、杏里先輩!?」

北川君と四十五分程電車に揺られ、改札口に向かうと、まだ人気の少ない改札口に杏里先輩が居た。

「どうしてこんな時間に?誰かと待ち合わせですか?」

「美桜がちゃんと来れるか心配で」

理由を訊ねると、まさかの私のためだった。

あれだけ大丈夫だと言ったのに!
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