触れないで、杏里先輩!
「どうして?」

撮らせてくれるって言ったのに。

「やっぱりダメ。でも美桜と二人なら良いよ」

「え」

ニコニコの笑顔で言われて私は固まった。

自撮りしたことはないが、やり方は分かる。
女子達がよくやっているから。
二人で撮るということは、杏里先輩とかなりの至近距離にならなきゃいけないわけで。

「無理っ!」

杏里先輩のことは信用しているが、至近距離は無理!

「じゃあ俺もヤダ」

プクッと拗ねた顔をする杏里先輩。

「えぇ!さっきは良いって言ったじゃないですかっ!」

「気が変わった」

そんなぁ!

うぅう……三千円……
うぅう……でも至近距離は……
うぅう……

心の中は激しい葛藤の末、
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