触れないで、杏里先輩!
「さぁ杏里先輩行きましょう!北川君また明日ね!」

漂う空気が気まずすぎて私は早口で言った。




駅前のカフェは人気のチェーン店。
お店の前には三つのパラソルの下には焦げ茶のテーブルとラタンのチェア、毎朝きちんと手入れされているだろうカラフルな花壇が見える。
若者に大人気で、私は一度も寄ったことはないが、放課後はいつもうちの高校の制服だらけだ。
今も制服を着た生徒がレジの前に行列を作っている。
私達もその列に並んだ。

「先輩、何飲みますか?」

「美桜は何飲む?」

「私は要らないです……」

「美桜は飲まないの?」

驚いたのか少し目を開いた杏里先輩。

「私のことはお気になさらず!先輩何にしますか?」

常に金欠なのに飲める余裕は無い。

「美桜はこの店来たことある?」

「はい、お母さんと」

前に買い物に出掛けた時、お母さんに買ってもらって美味しすぎて感動した。
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