触れないで、杏里先輩!
オイィ!?何を言う!?

私はムンクの叫びみたいな顔。
目の前の杏里先輩の表情は、キョトンとした顔で答えを待っているようだ。

今、クラスの空気が凍ったことに気付いてないの!?
私は犇々《ひしひし》と感じるんですけど!?

「まだ予鈴まで時間あるから少し二人で話そうよ」

帰れと言ったのにマイペースに笑顔のまま話し掛けてくる杏里先輩。

貴方聞いてた!?
私はお引き取り下さいって言いましたよ!?


『ガシリ』


その時、突然私の腕に圧迫感。

私はそこへと目を恐る恐る向ける。

掴んでる、私の腕を。

男の子の手が。

大きな手……
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