触れないで、杏里先輩!
「そんな驚く?俺も友達とよくやるけど」

それは同性のお友達でしょ!?

「じゃあ二つ買いました!」

「でも二つ買うと結構な値段するし、これならお買い得じゃん」

いやいやいや!

「美桜は俺と一緒に飲みたくないわけ?」

傷付いたような、心が苦しくなるような弱々しい瞳を向けられた。

「そんなことはないですよ!」

傷付けてしまったと、必死に取り繕う。

「なら良いね。飲もう」

杏里先輩はコロっと笑顔になった。

騙された。

「美桜、頂きます」

杏里先輩はそう言って自分側のストローに口をつける。

「美味しいね」

目の前で微笑まれてドキリとする。

だって学校では王子と呼ばれている人。

ドキドキしない方がおかしい。
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