触れないで、杏里先輩!
私の言葉に目の前の杏里先輩がキョトンとした。

その顔を見たら、羞恥心に襲われる。

思わず口に出してしまったが、杏里先輩が地味子の私にドキドキするはずないもの。

恥ずかしいと思うのと同時に何故か胸が苦しいことに気付いた。

何で胸が苦しくなるの……?


「ドキドキするよ」


胸の違和感に戸惑っていると、返ってきたのはまさかの答え。

私は目を見開いた。


「嘘……だって私、地味子だし……」

「どうして美桜はそんなに自分を卑下するの」

杏里先輩は真摯な瞳を私に向けている。

「自信が無いのは心が弱いってことでもあるだろ?強くならないと恐怖症も治せないよ。だからまず自分に自信を持って」

私は確かに弱い。

だから前髪で自分を守っていたわけだし……。
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