触れないで、杏里先輩!
六月中旬、梅雨のせいで今日の午後から一週間雨予報だ。
普通の人は憂鬱になるだろう。
でも私は大歓喜。
傘を差さなけれぱいけない日は、傘のお陰で距離を作らないといけないから安心する。
そんな梅雨の放課後の昇降口で傘を差しながら二人を待っているとすぐにやってきたのだが、
「杏里先輩、傘は?」
花純先輩は傘を差そうとしているが、杏里先輩は傘を差そうともせず玄関の屋根から出ようとしない。
「忘れちゃったんだ。美桜の傘に入れて」
笑顔の杏里先輩が私の傘を指差して言った。
私は「え」と数秒固まった。
今日の朝までは雨は降っていなかった。
杏里先輩は傘を忘れて困っている。
だけど、
「肩がぶつかるかもしれない距離だし、私それで倒れちゃうかもしれない!」
「試してみよ」
退かない杏里先輩に、久々に足元が震える感覚がする。
「俺の髪触れたじゃん。きっと大丈夫」
倒れたらと思うとやっぱり怖いから。
普通の人は憂鬱になるだろう。
でも私は大歓喜。
傘を差さなけれぱいけない日は、傘のお陰で距離を作らないといけないから安心する。
そんな梅雨の放課後の昇降口で傘を差しながら二人を待っているとすぐにやってきたのだが、
「杏里先輩、傘は?」
花純先輩は傘を差そうとしているが、杏里先輩は傘を差そうともせず玄関の屋根から出ようとしない。
「忘れちゃったんだ。美桜の傘に入れて」
笑顔の杏里先輩が私の傘を指差して言った。
私は「え」と数秒固まった。
今日の朝までは雨は降っていなかった。
杏里先輩は傘を忘れて困っている。
だけど、
「肩がぶつかるかもしれない距離だし、私それで倒れちゃうかもしれない!」
「試してみよ」
退かない杏里先輩に、久々に足元が震える感覚がする。
「俺の髪触れたじゃん。きっと大丈夫」
倒れたらと思うとやっぱり怖いから。