触れないで、杏里先輩！
「ごめんね、巻き込んで……杏里君は絶対美桜ちゃんが好きだと思ってたの……。美桜ちゃんを選ぶところを目の前で見たら、吹っ切れられると思ったの……。まさか初恋の女の子をまだ忘れていないなんて思わなかったの……」

花純先輩が泣きそうな顔で懺悔した。

そういうことだったんだ。
花純先輩、最初から勘違いしてたもんね。


「私の方こそごめんなさい……私だって応援すると言ったのに、何も出来てません……」

「そんなことないし、私断ったじゃない。これは杏里君と私のことだし、それに美桜ちゃんだって杏里君が好きじゃない……」

なんで知っているの？
誰にも言っていない私の気持ちに。

目を見開いて固まっていると、花純先輩が私を抱き締めた。

「本当にごめん……泣かないで……」

花純先輩の言葉に泣いていることに気付かされた。


私達は泣きながら抱き合っていた。
どれくらいそうしていたかは分からない。

泣いているのもバレてしまったし、涙を出し切ってスッキリしたかった。
きっと花純先輩も同じ気持ちだったのだと思う。


「スッキリした。帰ろうか」

私から身体を離すと、鼻声の花純先輩が吹っ切れたような顔で笑っていた。
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