触れないで、杏里先輩!
杏里先輩の静寂と反応にホッとして再び俯くと、両腕を抱き締めて自分を落ち着かせながら彼が消えてくれるのを待つ事にした。




「俺が治してあげる」


突然、杏里先輩が言った。


治す?
突然何を?
というか、早く消えてくれないの?

意味が分からなくて顔を上げると、真剣そうな瞳と目が合った。


「このままじゃ色々困るよ?逃げることは出来るけど、男を避けては生きられないでしょ。男に触られる度、倒れるつもり?」

杏里先輩は現実的な問題を投げてきた。


それは私も分かっている。
本当は高校は、あと女子高を二校受けていた。
第一と第二希望。
でもその二校とも落ちて、滑り止めのこの高校に来た。
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