触れないで、杏里先輩!
お腹が減りすぎていた私は遠慮なく頂戴することにした。
袋におずおずと手を伸ばすと袋の底を掴んだ。
袋の手持ち部分を杏里先輩が掴んでいたから触れたくなかった。
受け取って中を見るとチョコクロワッサンと、先程買いに行こうとした紙パックジュースの苺ミルクが入っていた。

「美桜は苺ミルク、好き?」

驚いたからだろうか、杏里先輩が中身を見ている私に訊いた。

「……はい」

怖くて彼を見れない私は、袋の中を見ながら返した。

「やっぱり好きだと思った」

『キーンコーンカーンコーン……』

そこにチャイムが聞こえてきて、疑問を抱いた。


「今、何時間目!?放課だったの!?授業中だったの!?」

今、何時なのかと。

「今のは二時間目の放課が終わったチャイム。俺は行くよ。流石に二時間連続でサボれないからね」

杏里先輩が教えてくれたが、彼の言葉に驚いた。

授業をサボって私についていたの?
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