触れないで、杏里先輩!
「え?」

ハーフがコンプレックス?
突然何?

「日本人とは違う、青い瞳に白い肌。だから目立ってた。しかも昔は英語しか喋れなかった」

だからそれがどうしたの?

私は杏里先輩の意図が分からず、苛立ちを覚えて眉をひそめた。

「俺が一番最初に理解した日本語、何だと思う?」

知らないわよ、そんなの。
どうでも良いし。

本人に直接告げる図太さは流石に持ち合わせていない私は、机を眺めながら心の中で悪態をつく。


「日本語が喋れないバカ」

「え」


その言葉に驚いて反射的に顔をあげてしまった。
いつの間にか杏里先輩は私の横に腰を曲げてしゃがんでいた。
苦しそうな顔をしているかと思ったが、顔は笑顔だった。
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