触れないで、杏里先輩!
「俯いてるから俺が来たことにも気付いてない」

私はその指摘に図星すぎて固まった。

確かに、男の人を見るのも嫌で、道を歩く時は基本下を向いている。
だって俯くと防護壁の前髪が完璧に私を隠してくれるから。

だから癖になっていたようだ。

「中学からそんな風になっちゃった?中学で皆に心配されたんじゃない?ずっと俯いていくつもり?」

「……」


……何で、分かるの。

まるで見てきたみたいに。


「美桜、こっち向いて」

でも私は顔を上げられない。

だって怖い。
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