触れないで、杏里先輩!
貴方は立ち向かう勇気を持てた。

凄いです、心から尊敬します。

でも私はそんなに強くない――


『ジョキン』


突然聞こえたのは、聞き覚えのある音。

「え」

嫌な予感がするよりも先に驚いた。

だって突然、目の前から黒い塊が机の上にボトッ!と落ちて、視界を遮ってくれていた防護壁その一が無くなってしまったから。


「美桜はそっちの方が良いよ」


慌てて顔を上げると、笑顔の杏里先輩の右手にはハサミ。

視界を邪魔してくれるものが無いせいで、杏里先輩がハッキリと見える。
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