触れないで、杏里先輩!
「う~ん……分からないです」

「無理の無い量を摂取して、ちょっとずつ慣らしていくんだ」

「へぇー、そうなんですね」

「さっき服には触れたから、まずは髪から始めようよ」

「え」

まさかの提案に私はフリーズしたパソコンのように固まる。

そんな私を余所に、杏里先輩は持っていた紙パックを床に置いた。


「荒療治かもしれないけど、触れられて慣れてくのが一番良いと思う」

そして私に真剣な顔を向けて言う。

確かにそうかもしれないけれど、いきなりは無理!

「心を準備する時間を下さい!」

私は再び横の壁に張り付く。
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