触れないで、杏里先輩!
「三年以上それだったんでしょ?何年も待てないよ」

認めないというように杏里先輩は眉を寄せた。

その時、頭に少し前に流行った言葉が頭に流れた。


『いつやるの?今でしょ!』


男性恐怖症を治すんだ……


私は速い音を出している心臓を押さえながら、強く両手の拳を握る。


「杏里先輩!私、腹を括ります!」

「よし、その意気」


私は気合いを入れて、杏里先輩と向かい合う。

杏里先輩は床をお尻で滑るように私にじりじりと近付いて来た。

杏里先輩に下心はないし、危害を加えようなんて考えていないし、私の事を知っている人だ。
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