触れないで、杏里先輩!
私は思わず辺りを見渡した。

周りには誰も居ない。

何で私を見ているの?
何で私に向かってくるの?

「君、名前何?何年生?」

意味が分からなくて立ち尽くしていた私の目の前で先輩は立ち止まると驚いた顔のまま言った。

なんでそんな事を突然私に訊くの?

だって私達、初対面。

意味が分からなくて、言葉を出せないでいると、目の前の杏里先輩が突然ニッコリ微笑んで。

「俺の顔見て、思うことない?」

え?顔?

そう言われて、私は先輩の顔をじっと見る。
白人の血のお陰か、男の子とは思えないほど透き通った白い肌、毛穴なんて見えない。
薄い色素のサラサラな髪、日本人では有り得ない綺麗な透き通る青色の瞳はビー玉みたい。
日本人離れした身長と脚の長さ。
私が一五○センチしかないチビだからか、見上げなければ顔が見えない程だ。
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