触れないで、杏里先輩!
でも、分かっていても、真っ直ぐ私を見るのは私とは骨格も全然違う男の人。


「や、やっぱり、だめっ!ふ、触れないでっ!」


やっぱり怖くて、私は後ろへと這いつくばって逃げてしまった。


「大丈夫、怖いことはしないから、こっちおいで。じゃあ目を瞑るのはどう?」

優しい声色と表情で次なる案を出した杏里先輩。

私が答えられず固まったままでも、その顔のまま私の動きを待っている。

目の前の透き通る懐かしい綺麗な優しい青い瞳を見たら、少し落ち着いた。


この人は私に危害を加えない、大丈夫、怖くない。

何度も心の中で反芻して、深呼吸した私は覚悟を決めると、目をギュッと閉じた。


「ど、どうぞっ!」

「触れるね」
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