愛しているので離婚してください~御曹司は政略妻への情欲を鎮められない~
「綾星さんは?」 と、聞いてみたら、華道以外は被ってた。剣道以外にも色々やっていたらしい。

「趣味は旅行なのか?」

 ん? なぜそれを。

「ええ」

 どうして知っているの。私だけの秘密なのに。

「一週間休みを取るから、どこか旅行に行かないか?」

「はい」
 そういえば私たちは新婚旅行も行っていない。

「じゃあ、旅行先は君にプランを考えてもらいたいな。一週間の休みで、是非君のおすすめのところに」

「はい……。いくつか考えてみますね」

 さらりと流されたけれど、綾星さんはどうやって私の旅行好きを知ったのだろう。

 密かな楽しみなので誰にも言っていない。兄だって多分知らないはずだ。私が旅行に行き始めたのは結婚後なのだから。
 なぜ知っているのか、いずれ折を見て聞いてみよう。


 その後も他愛ない話をして綾星さんは仕事に向かった。

 家事を済ませてしまうと、夕方まではたっぷり時間があるので、久しぶりに近所を散策し小さなカフェで紅茶を楽しんだ。

 マンションに戻り、早速本屋で買った旅行雑誌を広げてみる。

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