愛しているので離婚してください~御曹司は政略妻への情欲を鎮められない~
 旅行先は国内でというのが彼の唯一の希望。

 綾星さんと一緒というのはさておき、行ってみたい旅行先はまだまだある。
 電車の旅もいいけれど、レンタカーと組み合わせれば行き先も広がるし。

 つい夢中になってしまって、うっかり夕食が手抜きになってしまった。

 でも、ステーキと野菜サラダにスープだから見た目は問題なし。

 夜七時には帰るコールもちゃんとあって、綾星さんは七時半に帰って来た。そんなに早く帰ってくるなんて滅多になかったのに。

「おお、ステーキか」
 目を細めてうれしそう。

 赤ワインを片手に、うまいうまいと喜んで食べるけれど当然ですよ。ブランデーでフランベした米沢牛のサーロインですもの。

「旅行先はどう? 候補はある?」

「綾星さんは、行きたいところはありますか?」

「俺はどこでも。出張以外で旅行なんてずっとしていないから、どんなところでも行けるだけで楽しみだ」

 本当に楽しみであるかのように、にこにこと微笑む。

「歩いたりしてもいいですか?」
「うんうん。歩きたいね」

 ふぅーん。

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