愛しているので離婚してください~御曹司は政略妻への情欲を鎮められない~
 彼女は私のかつてのクラスメイトで綾星さんのいとこ。

 木曽路を旅行中、美々子からメッセージが送られてきた。

 一枚の写真と共に――。

「お待たせ」

 ジッと私を見る今日の彼女の瞳は、グリーンにも茶色にも見える。カラーコンタクトにエクステはいずれにしろ、涙袋が前回会った時よりも大きくなっている。顎も小さくなったか。

 美容に命をかけているような子だから、また少し美容整形でもしたのだろう。

 ミルクティを頼み、係の女の子が消えたところで早速、美々子が口を開いた。

「待ちくたびれちゃったぁ。三日も待ったのよぉ」

「仕方ないでしょ。出かけていたんだから」

 美々子のメッセージは、とある写真を脅迫の材料に私に離婚を迫るものだった。
 既に私は綾星さんに離婚届を出しているし、美々子の脅迫とは関係ないけれど、一体なぜ彼女が離婚を迫るのか。

「それで? 離婚は決まったの?」

 首を傾げて、美々子は伺うようにちらりと私を見る。

< 139 / 211 >

この作品をシェア

pagetop