愛しているので離婚してください~御曹司は政略妻への情欲を鎮められない~

「はい。お土産。リンゴバター。食パンに塗ったらうまかったぞ」

「おっ、サンキュ―。で、どうだった?」
「ああ楽しかったよ。もう最高だ」

 あれやこれやと思い出し、にやけてしまう。
 冷やかすように見下ろす透は、しまいに笑い出した。

「あはは、全身からピンクのハートが飛び出してるぞ」

「まあな、俺は今とてつもなく幸せなんだ。何を言われようが受けて立つぞ」

「おお、じゃあその勢いで頼む」

 案の定、仕事はしっかりと溜まっていた。

 透から渡されたタブレットには、分刻みのスケジュールを詰め込まれた週間カレンダーが表示されている。

「悪いな。今日明日だけは残業してもらわないと間に合わない」
「わかった」

 約束の残り二週間はできるだけ星光と一緒に過ごしたいが、仕事は待ってくれない。持ち帰れる仕事は限られる。

 まずは稟議書のチェックを始めて間もなくだった。再び入ってきた透が顔を曇らせた。

「元会長から電話だ。どうする?」

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