愛しているので離婚してください~御曹司は政略妻への情欲を鎮められない~
 食べ終わったところで食器を片付けながら、思い切って言ってみた。

「綾星さんには言わなかったんですけれど、実は旅行中に美々子から会いたいって連絡があって、昨日午前中に美々子と会ったんです」

 呼び出された話をすれば、聞き出せるかもしれないと思い言ってみた。

 すると、綾星さんはみるみる表情を強張らせる。

「そうなのか! 美々子のやつ」

「あの、でも……」

「美々子に何を言われても気にするなよ。もう心配ないから。あいつめ」

 どうしよう、ものすごく怒っている。

「私は大丈夫ですよ。犯人がわかったから満足です。知らない誰かじゃなくて美々子だとわかってホッとしたくらいで。それであの伯父さまは――」
「美々子に何を言われたんだ?」

 興奮覚めやらぬ綾星さんに言葉を遮られた。

 もしかして、これはまさかの逆効果?
 とても話してくれるどころじゃない。むしろ真剣な面持ちで問い詰めてくる。

「写真で離婚を強要してきたんだろう?」
「えっと。まぁ、そうですけれど」

 確かに離婚を迫られた。
 それは事実だけれど、私にはそれほど問題じゃない。

< 166 / 211 >

この作品をシェア

pagetop