愛しているので離婚してください~御曹司は政略妻への情欲を鎮められない~
 こんなことを本人に言ったら、それこそ張り倒されて二枚目の離婚届を叩きつけられるだろうが。

 身体は素直だよな、星光。な?

 俺が頼んだとおり、ボディーガードの件を氷室は星光に言っていないらしい。彼女はそれらしいそぶりは見せなかった。

 不安な思いはさせたくない。

 伯母からは、あの後すぐに電話があった。
 美々子の暴走に伯母は気づいていたらしい。

『言っても聞かないのよ。一度カウンセラーに連れて行こうと思っていたの』

 神妙な声でため息をついていた。
 伯父は頼りにならないが、伯母は美々子を犯罪者にしないために必死に動くはずだ。

 星光にボディーガードを付ける報告をして、次に何かあれば躊躇なく警察に相談すると告げると、伯母は声を震わせた。

『綾星さん、待って……。それは』

『星光が心配なんです。美々子をなんとしても止めてください。何かあってからじゃ遅いんです』

『ええ、わかっているわ。なんとかする。大丈夫よ』

 夕方には弁護士が伯母に会いに行っている。
 美々子の気持ちを落ち着けるためのカウンセラーを紹介するなど、力になってくれるはずだ。

 弁護士を通じて美々子にGPS発信機を付ける提案もしているはずだ。伯母は美々子のバッグかどこかに付けただろう。

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