愛しているので離婚してください~御曹司は政略妻への情欲を鎮められない~
「多分、大丈夫だろう。細かく聞いてみないとわからないが。そういえば教授、スマートグラスの遠隔診療も協力してくれるってさ」

「おお、よかったな」

 仕事の話がひと通り済んだところで、ふと思い出した。

「氷室の警備会社でもスマートグラスを使うらしいぞ」

「へえ。どんな使い方?」

「ターゲットを見失った時に生体認証で探すとか。ただやっぱりターゲットがマスクをしていたり、サングラスしているようだと厳しいらしいな」

「それって、もしかして」

「ああ、うちの技術に興味を示した」

 GoJの最新技術は人物の全身を照合して個人を特定させる技術だ。後ろ向きでも可能で、変装くらいでは騙されない。ボーディガードの仕事で活躍できるだろう。

 その場で営業に内線し、しばらくは仕事の話になった。

 一段落しコーヒーを持ってきた透がしみじみと言う。
「彼は人材派遣会社の専務もやってるんだろう? 警備会社と、芸能プロダクションだっけ?」

 その通り。あの男にはいろんな顔がある。

「最近は家政婦紹介所まではじめたらしい」

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