愛しているので離婚してください~御曹司は政略妻への情欲を鎮められない~
「へえー、パワフルだな。そういえば彼、なんとなく飛翔さんに似てるないか?」

 それを言うなよ。何気に気にしているんぞ。

「飛翔さんのほうが怖いけど、まぁ似てるよな」

 少なくとも俺とは違うタイプだ。

「あ、そうそう。星光さん、インスタやってないか?」

「インスタ?」

 透はスマートホンに指を滑らせる。

「綾星が絶賛するから、俺も行ってみようかなと思って馬籠宿のタグを追って見ていたら。ほら、これこれ」

 投稿日は旅行から戻った後だが、どれもこれも見覚えがある。

「本人はどこにも写っていないけど、京都も行ってただろう?」

 その通り。ふたりの旅行の前は京都、その前は東北経由の北海道。同じだ。

 そういえば彼女は高そうな一眼レフカメラで写真を撮っていた。俺よりも沢山撮っていた。

 今俺のスマホの表紙は自撮りのふたりの写真で、俺は星光ばかり撮っていたが、彼女は違う。風景にカメラを向けていた。

 タイルに並ぶ一枚目の写真だけでは確証できない。

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