愛しているので離婚してください~御曹司は政略妻への情欲を鎮められない~
 スマホを見ていると、インスタからフォロワー登録の通知があった。
 馬籠宿の写真が受けたのか外国人のフォロワーが増えている。日本人フォロワーも何人かいて、starlightというアカウント名が目に留まる。

 starlight、星の光?

 プロフィールには『日常』とだけ。性別も年齢もない。
 始めたばかりらしくフォローしているのは私だけだ。

 投稿画像は一枚。
 インスタに慣れていないのか、タグも付いていないしコメントもない。
 テーブルの上にポツンとあるのはコーヒーか。黒いフォルダー付き使い捨ての紙コップ。

 上というよりも横から撮ってあるので奥が写り込んでいる。ピントがカップに合わせてあるのでぼやけているが縦のブラインドと観葉植物が見える。

 オフィスだろうか。
 なんとなく興味を惹かれたのでフォローバックをする。

 スマートホンを閉じて、さてどうしようとため息をつく。

 ひと月がいつまでなのか具体的な日にちは決めていなかった。30日なら明日だし31日と考えるならあさってになる。

 このままだと綾星さんは離婚届を書いてくれそうにない。

 離婚しか考えていなかったから、新しい部屋も借りて準備も整えて。無駄にしたくないのに。

 結局は、私次第なんだろう。
 綾星さんがなんと言おうと、マンションを出て、今後を兄に頼めば間違いなく離婚は成立する。

 それはわかっているんだけれど。

 離婚……か。

 ネットで離婚を検索していると、別居の文字が目に留まった。

 別居?

 そうだ。
 別居してみるというのはどう?

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