愛しているので離婚してください~御曹司は政略妻への情欲を鎮められない~
マンションを出てから一週間が経った。
毎日が楽しくて仕方がない。
マンションを出たあの日、その足で向かった旅行先は、仙台に一泊してからの北海道の旅。
一週間目の今日は、のんびりと旅を満喫した帰り道の再びの仙台だ。
「いらっしゃいませ」
流れている音楽は静かなシャンソン。
ここは仙台市の駅近く。繁華街の路地裏にあるチョコレート洋菓子店で、イートインできるカウンターがある。
チョコレートを二粒と、メニューに書かれているおすすめコーヒーを注文した。
「かしこまりました」と、にっこり微笑む髭のマスターは恐らく三十代。鼻が高くやたらと色気がある彼は、もしかしたらフランス人とのハーフなのかもしれない。雰囲気がやわらかく女性にモテそうだ。
今は私の他に客はいないけれど、この前来た時には客のマダムたちが彼と楽しそうに話をしていた。チョコレートではなく、彼目当ての客もいるのではないだろうか。
そんなことを考えつつ、ほっと一息ついていると、コーヒーの芳しい香りが漂ってくる。
「お待たせしました。おすすめコーヒーはモカとなっております」