愛しているので離婚してください~御曹司は政略妻への情欲を鎮められない~
星光が出ていって今日で一週間。
あれきり何の連絡もない。
どうしたものかと悩んでいても、日々のスケジュールは変わらず、時間は無益過ぎていく。
今日のパーティーは綾乃と来た。
『とにかく、星光さんに謝ってよね。どうせお兄ちゃんが原因なんだから』
『わかった。必ず謝る』
ごねる綾乃をなだめるのは大変だったが仕方がない。何しろ婦人服ブランドのオープニングレセプションパーティーだ。
GoJが提供するファッションコーディネートサービスの契約を取り交わした関係で呼ばれているが、男ひとりで来るわけにもいかず、綾乃に頼み込んだのである。
「綾乃、シャンパン飲むか?」
「うん」
冷ややかな目を向ける綾乃の機嫌を取りながら考えてみた。
『提出したら連絡ください。それまでは誰にも秘密で、私を探さないでくださいね』
彼女はそう言っていたが、探さないでとはどういう意味なのか。連絡もしないでくれということなのか?
その時ふと、綾乃が何かを言った。
「ん?」
振り返ると綾乃が、『あの子のドレスのことよ』と耳打ちする。
母娘の会話が耳に届く。
「まぁ、ちょっと。ドレスの後ろ、皺だらけじゃないの」
「えー」
綾乃が「だめなのに」と小声で呟いた。