愛しているので離婚してください~御曹司は政略妻への情欲を鎮められない~

「昔から?」

「まっすぐで、優しくてね」

 優しい?

「――そうですか。クラスメイトを取り囲んで土下座をさせたとかって聞いたことがあったので。いや、もちろん信じていませんが、どうしてそんな噂になったのかと」

「土下座? んー? その話は知らないなぁ。彼女は一匹狼のような子だったし、取り囲むなんてなぁ」

 一匹狼? すでにそこで印象が違う。

「ちなみに土下座した子って、誰かわかります?」と聞かれた。

「えっと確か」
 記憶を辿って説明した。去年外資に吸収合併された企業のひとり娘だ。

「あー、あの子ね。それは逆でしょ」
「え? 星光が土下座を?」

「いやそうじゃなくて、その子が星光さんに何かしたんでしょう。有名でしたから、なんていうか猿山のボス的な子」

 彼は、土下座が本当なら、星光に何かして星光の兄貴に脅されたのかなぁ、と言った。

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