愛しているので離婚してください~御曹司は政略妻への情欲を鎮められない~
 それでも俺は、これから先もずっと、一生彼女が俺の妻だと信じて疑わなかった。離婚なんて一度たりとも考えていない。仮面夫婦だろうがなんだろうが、星光は俺の妻だ。同じ墓に入るまでずっと妻なんだ。

 馬鹿なんだろうが、まさか離婚届を突きつけられるなんて、予想もしていなかった。
 結婚を決意したあの時から。

 星光と縁談があった当時、五條家は危機にあった。

 GoJの会長で一族の本家の伯父が、会社から巨額の金を使い込み特別背任で逮捕されそうになったのである。
 GoJもだが、五條一族にとっての悪夢はそこから始まった。三桁に届きそうな億という金を、こともあろうに伯父はギャンブルにつぎ込んでいたのである。

 あの時乗り越えられたのは全て、星光との政略結婚のお陰だ。五條家は花菱一郎の力で首の皮一枚でなんとか繋がった。

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