愛しているので離婚してください~御曹司は政略妻への情欲を鎮められない~
「結婚してすぐ、俺の食事は気にしなくていいって星光に言ってしまったんだ」

「え? じゃなに、もしかして、俺が行った時しか星光さんの料理食べてなかったのか?」

「ああ、ほとんどな。休みの日に何度か食べたきりだ。そういえば俺が好きなものが並んでたな……」

「そりゃそうだろ、彼女タミさんにお前の好み色々聞いてメモしてたもんな」

「え? そうなのか?」

「知らなかったのか? そっちのほうが驚くわ」

 タミは五條の実家に昔からいる家政婦だ。

「何でお前が知ってるんだよ」

「お前が結婚してマンションに引っ越した時だよ。タミさんが手伝いに来ていただろ」

 そうだった。ほぼ引っ越し業者に頼んだものの、細々と整理する必要もある。あの日、俺はもっぱら自分の部屋を整理して、台所やら他はタミと星光が相談しながら整えていた。重たい物の移動は、透が彼女たちを手伝っていた。

 またひとつ、俺の知らない星光を見せられた。

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