粗大ごみを拾ってしまった(番外編その4)大森VS巫女の恋愛格差問題
<天界・神殿の称号授与式>

会場が静まり、教皇が登場した。

ゆったりとした深紅のローブを
まとっている。

小柄で属性は<女>だろうが、
ベールをかぶっているので
顔はわからない。

控えの天使に手を引かれ、
椅子に座った。

別の天使が、装飾の美しい杖を持ってきて、
教皇に手渡した。

教皇が立ち上がり、
控えの天使に介添えを受けながら、中央の通路に進みでた。

そして、
順番に、片膝をついている霊体の肩に、
杖の先を軽く触れていく。

「オーモリ」
世話役の天使が、名前を教皇に伝えた。

大森は頭を下げ、手を胸の前で組み合わせた。

教皇の杖が軽く肩に触れた。

大森は下を向いていたが、
杖を持つその手に、見覚えがあった。

小鳥のように小さくて、白い
そして桜貝の爪・・・

微か(かすか)
あの春を告げるヒヤシンスの
花の香が(ただよ)った。

教皇はそのまま通路を進み、
参加者全員に印をつけると
会場から退出した。


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